2006年04月28日

おかえりなさい

検察の“想定外”な事態によって、かの虚業家、今夜保釈。

心より「歓迎」する。あなたはこの世界の翳(かげ)だ。いかに世間が『虚ろ』と蔑(さげす)もうと、あなたは存在すべくして存在した。その意味を矮小化したり、軽んじたりすべきではない。

かくも風評の読み方に優れていたあなただ。“出所”して先ず一番にしたことは、インターネットへのアクセスであったろうと推察する。美味い飯を食わす料亭か愛人の元へ一目散…などと下卑たゴシップネタを煽る向きもあったが、さあ、果たしてそうか。風評を巧みに操る異才は、とどのつまり、風評の巣であるバーチャルスペースに還(かえ)るしかない──というのが、本コラム著者の一貫した持論である。

かくして、新世代の虚衆らの拠り所でもある【ネット】が、疲れ果てたあなたの(驚天動地の?)拘留生活をねぎらうのだ──おかえりなさい。
posted by 想定ペンギン舎 at 01:18| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月12日

『はだいろ』を恥じる支離滅裂

先日、現代社会のなかで横行する“コトバ狩り”について考えさせられる場面があった。

久しぶりに文具店へ行き、甥っ子のために16色入りのクレヨンを購入したときのことだ。何気なく裏箱を眺めていたら、そこに並んだ色の名称のなかに、見なれないカタカナ語を見つけた……

ペールオレンジ。

即座に強い違和感を覚えた。なぜなら、そのクレヨンの色はどう見ても『はだいろ』だったから。
ペールオレンジ? なぜ幼児にそんなイメージに乏しい伝えかたをするのだろう。聞けば、今では『はだいろ』はその存在自体が悪しき“差別用語”であり、教育現場で口にしてはならない禁句なんだと言う。

唖然(あぜん)とした。

たしかに、幼稚園や小学校の学習課程で、肌の色をいわゆる『はだいろ』だけに限定するような偏向が見受けられるなら、それは(昨今のグローバル標準に照らし合わせて)“人種差別”とも受け取れる。教育者としての配慮が期待されるべきだ。しかしこれは、そういうお決まりの悪慣行として糾弾されるたぐいの事象なのだろうか? 
よしんば、仮にも『はだいろ』という色彩表現を知らないまま成人した日本人なら、黒い肌の人の顔色を黄色人種と同じくらい微妙に見分けられたり、初めて出会う白い肌の人にも生理的に慣れ親しみやすい…とでも言うのだろうか? 別の肌色をした幼児が通う幼稚園で保育士が、「これはハダイロ。日本人のコたちの肌の色ですよぉ」とその子に教える行為は、国際的に許しがたい人種差別なんだろうか?

頭ごなしに差別慣行のひとつと決めつける前に今一度、冷静に考えてほしいのだ──『はだいろ』は、この国の成り立ちのなかで誰が強制するでもなく生まれてきた、悪意のない潔白なコトバである、ということを。

この島の連綿たる暮らしのなかで発生してきた土着のコトバである以上、当然、日本列島に住み着いた多数派民族の身体的特徴を下敷きに“命名”される。単にそれだけのことであって、特段、別の民族や人種を蔑(さげす)む意図が潜んでいるワケではない。

今しがた<悪意のない潔白な>と書いた。『はだいろ』を咎(とが)めるくらいなら白を善、黒を悪と刷り込む?この『潔白』というコトバだって“立派な”差別語にならないか? 白星、白無垢、ひるがえって暗黒、腹黒…等々は使用を禁じるべきか? 病院での白衣は不見識で、罰則で縛ってでも黒装束と混用すべきか? 喪服や弔問着には黒を避け、ウェディングドレスには出来る限り着色するよう見直すべきなのか?

コトバも色も文化。コトバや色は歴史。まして色の呼び名から受けるイメージに至っては、上っつらの文字を排除したところで意識から消去できるハズもない──そんなことは誰もがワカっていても、どこからか難癖がつけば(たちどころに)見境もなく隠す。不用意に“訂正”する。そういう行為を『ゴマカし』というのだ。どこまでも場当たり的で、どっしり構えたビジョンがない。

Q:「ナンで黄桃色を“肌色”呼ばわりするのか!」
A:「ニッポンは昔、黄色人種が多かったために、自分たちの肌の色になぞらえたのです」
Q:「なぁるほど。それなら(差別でないことが)ワカりました」

誰が『はだいろ』にケチをつけたのかは知らない。ただ誰であったにせよ、たったこれだけの説明が(明快で真正な論拠がありながら)なぜ出来なかったのか。いったいどこに、後ろめたい気持ちが生じ得るのか。こういう無抵抗の積み重ねが、あげく靖国神社参拝問題のようなニッポン人の《逆ギレ》の火に油を注ぐ結果となっている?なら怖い話だ。

確たる自信がないから。せめて見てくれだけでも整えたいから。
──それだけに翻弄され右往左往する存在は、あまりに軽薄で、無思慮で、臆病で…つまるところ『虚衆』的である。思い返せば、逮捕された虚業家は(まだ若者たちから絶大な支持を得ていた時分)コトあるごとに「想定の範囲内」と薄笑いの“思慮深さ”を演出し、忌憚のない意見をあけすけに表明して“臆病でない”態度を装っていた。

だからこそ彼は支持されたし、若者の多くがダマされたのだ。誰もが<軽薄で臆病な日本人>には飽き飽きしていたから。遠からず今回の事件が忘れ去られても、このことだけは心して記憶にとどめるおくべきであろうと思う。
posted by 想定ペンギン舎 at 01:54| 東京 ☀| Comment(1) | TrackBack(1) | 雑言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月26日

故事:イナバウアーの白ウサギ

昔々、あるところにフィギュアスケートの得意な白ウサギの娘がいました。ある日、彼女がトリノの大きな競技会を渡ろうとすると、彼女の足元をすくって演技をダメにしてやろうと、たくさんのキンチョウザメたちが岸辺に寄ってきました。

「ナニしにきた、小娘。白ウサギなんか気取りやがって」サメの1匹が言いました「この大会は黄色いアジアの豚どもが渡るところじゃないぞ」
白ウサギは言いました「わたしは他の白ウサギさんを押しのけにきたんじゃありません。向こうに渡りたいだけなの。でもわたしの力でメダルの岸にたどりつくには、あと10メートル足りないわ。助けてくれる?」
「ナンだって? 今の聞いたかよ兄弟?」別のサメが仲間に言いました「このウサギさん、助けてほしいんだとさ」
キンチョウザメたちの嘲笑(ちょうしょう)が、いっせいに白いスケートリンクにこだましました。
「豚にしては実力のほどをわきまえてるらしいから、場合によっては渡らせてやってもいい」やがて、頭領らしき1番大きなサメが言いました「足りない10メートルはオレさまの背中を渡れ。ただし、条件がある」
「それはナンなの? キンチョウザメさん」白ウサギは素直に聞き返しました。
「オレさまの背中では“目立つ”な!」サメは吐き捨てるように答えました「…それだけだ。オレさまのデリケートな背中を痛めるような渡りかたをしたら絶対に許さん。ジャンプやスピンなんてもっての他だ。少しでも得点を稼ごうなんて気を起こしたら、きさまはズデンと転んでトリノの底に沈む」
白ウサギは少し考え、やがってニッコリとほほえみ、言いました。
「ワカったわ。わたし、あなたの背中を傷つけない」

次の日、競技の順番が彼女に回ってきました。

スケートリンクには(観客や審査員には見えませんでしたが)きのうのキンチョウザメたちがあらわれ、彼女のためにお互いに連なって、背中の行列で長い長い“橋”をつくりました。
白ウサギはその様子を見届けると、サメたちの背中の上を滑りながら余裕の表情で演技をしました。ジャンプも決まり、エッジワークもカンペキ。見ていた観客からはやんやの喝采(かっさい)です。

後半、いよいよ頭領の大ザメの背中を渡るところに差しかかりました。彼女はそこを滑るとき、約束どおり、評価されることのないイナバウアーを演じました。彼の背中を傷つけるどころか、反り返らせた上体からリンクに伸ばした両手で、背中についたエッジの跡(あと)を軽くなでて行ったのです。
「サメさん、ありがとう」白ウサギは心の中でお礼を言いました「たとえこれでメダルは取れなくても、最後まで渡らせてくれてありがとう!」

彼女は大ザメの背中を滑りきると、ウレしさのあまり3回続けて見事なジャンプをしました。無事、メダルの岸に渡りついたときには、場内から割れんばかりの歓声と拍手。この白ウサギだけが、大きな失敗もなしに、トリノを渡りきったからです。次々に渡ろうとする他の白ウサギたちは、イナバウアーなんて評価の低い技は最初からバカにして試そうともしていませんでした。どのウサギも高得点ばかりを欲張って、結局、キンチョウザメたちに一瞬のスキを突かれ、食べられてしまいました。それだけに、彼女の優雅なイナバウアーが逆に(得点にはなりませんでしたが)その日の演技のなかで1番“目立って”いたのでした。

こうして白ウサギは、オソロしいキンチョウザメたちに1度も襲われることなく、世界で1番上手にトリノを渡ることができました。審査の結果が、金メダルだったことは言うまでもありません。めでたしめでたし。
posted by 想定ペンギン舎 at 15:08| 東京 ☔| Comment(4) | TrackBack(3) | 雑言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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